センター試験現代文0点による雑記

日々の備忘録や思ったこと

歯医者に行く。そして俺はブラック・ジャック

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私は歯並びが悪い。どれくらい悪いかと言うと、接客のプロであるキャバ嬢が引きつった笑いしかできないくらいに悪い。

 

こんなんじゃ女の子はキスしてくれへん

そう思い、財布を持って歯医者に行った。

 

「この歯を魔改造してくれ。」

歯科医師に頼む。

そうして、初めて歯を見てもらったとき、医師は驚いていた。

 

「あなた、普段食べ物を噛めていますか?」

 

は?バカにしてんの??

24年も人間やってるんや。飯くらいちゃんと噛んで食っとるわ。

そう言う間もなく、

 

医師は噛み合わせを調べるため、グニグニしたガムのようなものを持ってきた。

これを噛んでみてと。

 

はむはむ。なかなかどうして気持ちがいい。

ずっと噛んでたい。それくらい気持ちがいい。

 

そんなニヤケ顔の私の口に、医師は手を突っ込んでガムを引っこ抜く。

すると医師は、家でシロアリを見つけたくらい目を丸くして驚いた顔で言う。

 

 

 

「すごい……。」

 

 

 

すごいのは患者の目の前でそんな顔して驚愕してるお前だよ。

すごいっていうか怖いよお前。

すぐに医師はおれのすごさを教えた。

 

 

「あなたはご飯を噛めていない。

 特に左の奥歯の機能は死んでいる。

 前歯はカッスカス。

 辛うじて右の奥歯を使ってるけど、これも怪しい。

 擦り合わせてるんじゃないのか?草食動物みたいに」

 

 

お前すんごいこと言ってるの気づいてないのか?

時に事実は人を傷つける。道徳は学んでいないのか?

お前は今、俺のコンプレックスという名の地雷原でタップダンスをしているぞ。

 

てか待て。おれが草食動物だって言ったかこいつ。

待て。

 

 

俺が草食動物…?野菜を食えないのにか…?

俺は逆ヴィーガンである。

植物が可哀想で肉しか食べることができない哀れな化物。

そんな俺が、草食動物…。

 

 

泣くほど悔しい。

数十秒前まで敵対していた医師に頼み込む。

 

「治せますか…??

 おれは肉食動物のように力強く、咀嚼をしたい…!」

 

医師は俺の両肩をガシッと掴み

 

「治してみせます…!」

 

こうして、熱い友情で幕を上げた俺の歯列矯正物語が始まるのだが、

どうやら歯がゴミくそ汚い状態だから、メンテナンスから行う。

 

 

 

メンテナンスの日。

すごくかわいい歯科衛生士さんが歯をカチカチしてくれる。1時間くらい。おっぱいを押し付けて。

 

 

このシチュエーション、見たことある!!

avで見るやつだ…。

 

 

視界はタオルに遮られて感じ取れない。

今の俺に残されているのは触覚。

 

身体の全神経を後頭部に注ぐ。

後頭部は初めて俺になり、俺は初めて後頭部になる。

 

そこで感じたものは豊穣。幸福。愉悦。

否、おっぱい。おーぱい。

 

 

思考は一度、止まる。

心臓が強く脈を打つ。

血が全身を駆け巡る。

手が下半身へ伸びる。

 

今なら、してもバレないんじゃないのか?

だって、何も見えてないぞ。

 

 

無論、見えてないのは俺だけだが、そんなもの気にしない。

 

俺は見えないものは信じない。

俺は今、タオルによって視界はない。

つまり、俺の目の前には誰もいないんだ。

 

 

 

俺はオナニーのしすぎで屈曲してしまった、

Jの形をしたちんこを、黒いパンツから取り出そうとする。

 

 

 

その時俺は思ったんだ

 

 

 

 

黒いパンツにJの形のちんこ…?

 

 

 

俺は、ブラック・ジャックなのか…?

 

 

 

 

俺はブラック・ジャック…。

違う。そんなはずある訳ない。

そもそもあれは漫画のキャラクターだ。

俺がブラック・ジャックなはずがないんだ。

 

 

 

しかしそれなら

黒いパンツにJのちんこをどう説明する?

できない。できるはずがない。

だってその瞬間、

 

 

俺はブラック・ジャックになってしまったから。

 

手塚治虫先生は俺を描いていたんだ。

 

 

 

ブラック・ジャックが俺に統合したところで

歯のメンテナンスは終わる。

 

 

衛生士さんありがとう。

君のおかげで俺は己の正体、真実に気づくことができた。

 

帰り道、真っ黒なパンツを5枚セットで購入。

 

 

ここにブラック・ジャックとしての新たな人生

第二幕、開演